ベトナムへの進出方法について

今回は中小のメーカーベトナムに進出して営業活動を行う方法をご紹介します。

中小メーカーが現地で製品を販売するためには、現地で営業活動を行う拠点を持つ必要があります。インターネットを介して製品を販売してその都度個別に輸送する方法はあるのですが、その輸送コストは製品価格に転嫁されてしまいますし、オンラインだけでの営業にはまだまだ課題があるのが実情です。結局のところ、現地で直接製品を販売するのに勝るものはありません。

そこで、ベトナムに進出することを考えたときに、具体的な方法は、大きく分けて、次のものがあります。

  • 駐在員事務所の設置
  • 外国企業の支店の設置
  • 外国投資企業の設立
  • 事業協力契約の締結

駐在員事務所

駐在員事務所とは、ベトナム国内に設置される代表事務所です。独立した法人格を持たず、また、営業活動を行うことはできません。つまり、現地で商談や見積書のやりとりをすることはもちろん、プロモーションの段階から営業活動が大幅に制約されます。できるとしても展示会くらいです。銀行口座も支出専用口座しか開設できません。活動期間は延長も可能ですが5年までです。このような事務所を置く目的はマーケット・リサーチです。つまり、現地の情報収集と連絡のための拠点として活用されます。以下で述べる外国投資企業の設立に先行して、本格的に現地市場にビジネスを展開する前に利用することが一般的です。

外国企業の支店

現地に支店を出す方法です。独立した法人格を取得しないため、現地法人を設立するのとは異なります。現地の支店を利用することにより、情報収集と連絡のほか、営業活動を行うことができます。しかし、そもそも一部の業種業態を除いて規制がかかっているため、基本的に支店を出す方法によることはありません。

外国投資企業の設立

現地法人の設立です。最も一般的な方法です。ジョイント・ベンチャーの設立もこの形態で行います。法人の形態としては株式会社か有限責任会社(一人有限責任会社・二人以上有限責任会社)かを選択できますが、日本企業としては多くは現地法人を上場させたいわけではないでしょうから、有限責任会社が選択されます。手続的にもその方がラクです。

事業協力契約(Business Co-operation Contract)の締結

事業協力契約(BCC契約)とは、事業を共同で行い利益を分配するために締結する契約です。日本の組合と同じようなものと考えるとわかりやすいと思います。独立した法人が設立されるわけではなく、既にある現地法人との契約関係になります。基本的にはジョイントベンチャー現地法人の形態で設立すれば足りるため、あえて法人を設立しないという選択を行うケースはほとんどありません。ジョイントベンチャーの設立に規制がかかってくるケースに事実上用途は限定されています。

その他(雇用代行サービス?)

近時は雇用代行という形態が実務上見られます。これは雇用代行サービスを提供する現地法人に自社が派遣した従業員を雇わせるというスキームです。簡単に言えば、自社のメンバーに現地法人の皮をかぶせて営業活動を可能にさせるものです。現地法人しか営業活動ができないなら、そのための現地法人をあらかじめつくっておき、いろいろな外国企業が使いまわせばラクだということです。もっとも、ダミー会社みたいなものなので、現地顧客との契約は日本企業とのダイレクトなものになり、決済方法が国際送金等々になりますし、もちろん自社現地法人の売上になるわけではありません。

・・・というものがありますが、正直なところ、実際の処理をどうしているのか、法的正当性があるのかについては、まだ確認ができていません。

<Shota Hiratsuka / Maki Shimoji>