中国の法律あるある

3月20日付の記事

“【中国】新型コロナウイルス関連はじめに~”

でも触れましたが、中国は、法律法規の制定スピードがとても速いです。

その代わり(?)といっては何ですが、いくつか見比べてみると、矛盾する内容のものがあったり、全体として整理されていない(穴があるとかバランスが悪い)と感じることも少なくありません。

矛盾や穴がある場合、これを解決する新しいルールや解釈基準が出るまで、私たち法律家を大いに悩ませてくれるのです。

でも、なんだかんだで結構すぐに解釈基準が出て解決していたりもします。

一応、法令間に矛盾がある場合、

新法は旧法に優先する

といった、いくつか最終的に優先順位を決定するルールというのはあるのですが、「ではこういう場合具体的にどうなるの?」といった疑問は、しょっちゅうお目にかかります。

実は、消滅時効についても、一見矛盾する内容が、2つの法律に定められています。

消滅時効を定めた2つの法律

消滅時効を定めたメインの法律には、古い法律

 「民法通則」(1987年1月1日施行)

と、新しい法律

 「民法総則」(2017年10月1日施行)

があります。古い法律が廃止されたわけではありません。名前も微妙に似ています。

細かな違いは追って触れますが、今回は、原則的なところだけ比較してみます。

民法通則135条(一般的な訴訟時効期間

人民法院に対し、民事上の権利の保護を請求する訴訟時効期間は、法律に別段の定めのある場合を除き、2年とする。

民法総則188条(訴訟時効期間)

1 人民法院(※裁判所のこと)に対し民事上の権利の保護を請求する場合の訴訟時効期間は、3年とする。法律に別段の定めのある場合は、その規定に従う。

それぞれ、もちろん例外があることを織り込み済みですが、

  原則なのに、全く違います。2年と3年、結構違います。

  

  どちらにしても日本より短いので、気を抜いているとあっという間です💦

先ほど、

新法は旧法に優先する

というルールを紹介しましたが、

この時効に関する矛盾については、新しい法律ができたからといって、そちらが優先して古い法律が無効になっているという、単純な話ではないのです。

次回は、この2つの法律の適用関係について、お話しします📚

<Maki Shimoji>